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【ご講演内容】


エンドトキシンによる近位尿細管障害- apoptosisとpyroptosisを理解しよう-
 敗血症性AKI時の腎障害は, 構造的変化よりむしろ炎症に関連する微小血管や尿細管の機能的変化が主体であると考えられており, 実際に壊死がみられない場合も多い. 通常、糸球体では分子量100万を越えるエンドトキシン(LPS)は濾過されないが, 敗血症時にはグリコカリックスが傷害されLPSは濾過される. その結果, LPSは, 主としてTLR4を介する尿流停滞やapoptosisにより尿細管上皮細胞を傷害する. 同時に, 尿細管周囲毛細血管内からは, 好中球や単核球を主体とした炎症性細胞の浸潤による尿細管上皮細胞を傷害する. 同時にLPSは毛細血管から腎尿細管上皮にとりこまれ, 細胞内センサーをターゲットとするDAMPs放出を伴うpyroptosisを誘導し細胞傷害を引き起こす. 本講演ではこれらの細胞死についてわかりやすく解説してみる.

敗血症性AKIに対する腎保護的血液浄化法とは?
 ICUでの体液過剰は血液濾過の最も頻度の高い適用である. 従って, 体液過剰によりAKIが引き起こされる機序の理解は極めて重要である. LPS, cytokinesによる近位尿細管障害, 脱落した円柱閉塞によるボウマン嚢圧上昇に加えて, 中心静脈圧上昇による腎うっ血により尿が得られなくなり, AKIを発症する. これらの尿が得られなくなる機序につき解説してみる. 一方, 敗血症患者にAKIが合併した場合, 予後が悪化することが多数報告されている. すなわち, 敗血症性AKIの管理は, 利尿薬などによる尿流を絶やさない管理や, 血液浄化法によるderesuscitationや “PAMPs/DAMPs nephropathy” 対策は腎保護的管理の一躍を担うと考えている. これらの血液浄化法は, 国外の腎代替療法とは異なる考え方であり, 腎サポート療法と考えるとわかりやすい.